「幼稚園の先生は辞める人が多いらしい」——そんな話を、現場でも、これから目指す人の間でも耳にすることがあります。ただ、その印象がどこまでデータに裏づけられているのかは、意外と整理されていません。

この記事では、文部科学省「学校教員統計調査」や厚生労働省の各種統計、自治体が実施した保育者向け実態調査などをもとに、幼稚園教諭の離職に関する実態と、よく挙げられる理由を整理します。あわせて、「今の園で続ける」「環境を変える」を考えるときの判断材料もまとめました。

なお、本記事には転職関連サービスの紹介リンクが含まれる場合があります。

最初にお伝えしておきたいのは、幼稚園教諭という仕事そのものを否定する意図はまったくない、ということです。子どもの育ちに日々向き合う専門職であり、やりがいを感じて長く働き続けている人も数多くいます。ここで扱うのは、あくまで「辞める人が一定数いる背景には何があるのか」という構造の話です。

この記事の要点

  • 「幼稚園教諭の離職率◯%」という単独の公的統計は、実は存在しない
  • 近い統計として、文部科学省「学校教員統計調査」、厚生労働省「雇用動向調査」「賃金構造基本統計調査」がある
  • 退職理由としてよく挙がるのは、給与・業務量・労働時間・人間関係・ライフイベントなど複合的な要素
  • 「辞めたいと思う理由」と「実際に辞めた理由」は、調査上はっきりズレる。前者は処遇・業務量が上位、後者は妊娠・出産などのライフイベントが上位に来る
  • 近年は公定価格の人件費単価の改定など、処遇に関わる制度が動いている時期でもある

まず前提:「幼稚園教諭の離職率」は正確には分からない

意外に思われるかもしれませんが、「幼稚園教諭だけを切り出した全国の離職率」を毎年公表している公的統計はありません。ネット上で見かける「幼稚園教諭の離職率は約10%」といった数字は、複数の統計を組み合わせた推計や、特定年度の資料からの引用であることが多く、扱いには注意が必要です。

近いところを見られる公的統計は、主に次の3つです。

① 文部科学省「学校教員統計調査」

3年ごとに実施され、幼稚園を含む本務教員の平均年齢、離職者数、離職理由の内訳などが分かります。最新回は令和7年度調査で、2026年7月に中間報告が公表されています(確定値は後日公表予定)。ただし調査間隔が3年と長く、また「定年退職」と「自己都合」などが同じ「離職者数」に含まれるため、数字をそのまま「自己都合の離職率」として読むことはできません。

② 厚生労働省「雇用動向調査」

毎年公表される離職率の代表的な統計ですが、産業分類は「教育,学習支援業」という大きなくくりです。学習塾も大学も含まれるため、幼稚園教諭単体の実態とはイコールになりません。

③ 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

職種別の賃金・勤続年数が分かる統計で、職種小分類に「幼稚園教員」があります。ただし速報版には職種小分類別の表が掲載されないため、数値を確認する際は「結果の概況」またはe-Statの職種別表を参照する必要があります。また、この調査は公務員を対象に含まないため、公立園の教諭の待遇はここには反映されません

つまり「幼稚園教諭は離職率が高い」と断言できるほどのきれいな単一データはなく、複数の統計と現場調査を重ね合わせて輪郭をつかむ、というのが正直なところです。この記事でも、そうした前提で数字を扱います。

統計から見える、働き方の輪郭

給与水準:全産業平均と比べて低めになりやすい傾向

賃金構造基本統計調査の職種別データでは、「幼稚園教員」の賃金水準は、同調査における全職種平均と比べて低めに出る傾向が繰り返し指摘されてきました。ただし具体的な金額は調査年・集計方法(所定内給与か年収換算か、賞与の扱いなど)によって変動するため、この記事では特定の金額を一人歩きさせないでおきます。実際の水準を知りたい場合は、最新の「結果の概況」またはe-Statの職種小分類表を直接確認するのが確実です。

また、公立と私立で条件が異なる点も押さえておきたいところです。公立園は地方公務員としての給与条例・給与表が適用されるのに対し、私立園は法人ごとの給与規程によります。先に触れたとおり賃金構造基本統計調査には公務員が含まれないため、同一の統計の中で公私を横並び比較することはできません。公立の条件を知りたい場合は、各自治体が公表している給与・定員管理の資料や採用案内を見るのが正攻法です。

年齢構成:若手の比率が高い構造

学校教員統計調査では、幼稚園教員は他の校種と比べて20代の比率が高いことが繰り返し確認されてきました。体力的な負荷や、結婚・出産を機に働き方を変える人が一定数いることが背景にあると考えられます。

なお、近年の調査で公立幼稚園の本務教員の平均年齢が上昇している点については、解釈に注意が必要です。「長く働き続ける人が増えた」という読み方もできますが、少子化に伴って公立幼稚園の園数自体が減少し、新規採用が抑制された結果として平均年齢が押し上げられている可能性も同じくらいあります。どちらか一方に断定できるデータではない、というのが現時点で言える範囲です。

よく挙げられる離職理由を6つに整理する

ここからは、自治体の実態調査などで繰り返し上位に挙がる要因を、6つに分類して整理します。

重要な前提として、幼稚園教諭だけを対象にした大規模な退職理由調査は限られています。そのため以下では、東京都が実施した「令和4年度東京都保育士実態調査」(調査対象は保育士)の結果を参考値として用います。職種も制度も異なるため、幼稚園教諭の実態と完全に一致するものではありません。乳幼児の保育・教育現場という共通点から傾向をつかむ手がかりとして読んでください。各節でも、保育士対象の調査を引用している箇所にはその旨を明記します。

① 給与・処遇と、仕事の重さが釣り合わないと感じる

東京都保育士実態調査(保育士対象)では、現在働いている人の「退職意向の理由」として「給料が安い」が61.6%で最も高くなっています。

ここで大事なのは、単純な金額の絶対値だけが問題ではない、という点です。命を預かる責任、専門性、持ち帰りを含む実労働時間——これらと報酬のバランスをどう感じるかが、満足度を左右します。「同世代の友人と比べて」という相対的な比較が、きっかけになるケースも少なくありません。

② 業務量と労働時間:保育・教育以外の仕事の多さ

同じく保育士対象の調査では、「仕事量が多い」が54.0%で2番目に高くなっています。

幼稚園教諭の場合も、子どもが降園したあとにもう一段階の業務があります。日誌・指導計画(指導案)の作成、連絡帳の記入、教材や制作物の準備、行事の計画と練習、園だよりの作成、環境構成の入れ替え、保育室の清掃など。運動会や発表会、卒園式が近づく時期は、この負荷が一気に上がります。

「子どもと関わる時間は好きだけれど、それ以外の業務で消耗する」——現場の声としてよく聞かれる構図です。近年はICT化(登降園管理や指導計画の電子化)を進める園も増えていますが、導入状況には園ごとの差があります。

③ 職場の人間関係

保育士対象の調査では、退職意向の理由として「職場の人間関係」を挙げた人は30.1%でした。上位に入る項目ではありますが、裏を返せば約7割の人はこれを理由に挙げていないということでもあります。「この業界は人間関係が悪い」といった一般化が成り立つデータではない、という点は押さえておきたいところです。

そのうえで、実際に悩みとして語られやすいのは、担任・副担任の組み合わせ、学年間の連携、主任や園長との方針の違いなど、具体的な関係性の問題です。特に保育観・教育観の違いは、単なる好き嫌いではなく専門職としての信念に関わるため、当人にとっては深刻になりやすい——これは統計というより、体験談として繰り返し語られてきた傾向です。

④ 保護者対応

保護者とのやりとりが心理的な負荷になり得る、という声は現場の体験談としてよく挙がります。ただし、この点については幼稚園教諭を対象とした信頼できる量的データを確認できていません。あくまで「そう語られることがある」という位置づけとして受け取ってください。

前提として、保護者は「負担の源」ではなく、子どもの育ちを一緒に支えるパートナーです。難しさが生じるとすれば多くは個別の状況によるもので、園としてどう組織的に対応する体制があるか(担任一人に抱えさせない仕組み、記録の共有、管理職の関与など)のほうが、実際の負担感を左右する要素として大きいと考えられます。

⑤ ライフイベントとの両立

ここは、実は最も重要な項目かもしれません。

東京都保育士実態調査(保育士対象)で、過去に退職した人が実際に挙げた退職理由を見ると、上位3つは「妊娠・出産」「給料が安い」「職場の人間関係」となっています。つまり、実際に職場を離れるきっかけとして最も多く挙がっているのは、ライフイベントです。

幼稚園教諭の場合、「担任を年度途中で降りにくい」という年度制の構造が、この判断をさらに難しくすることがあります。復帰後にフルタイム担任として戻れるか、時短勤務や補助的な職位の選択肢があるか、産休・育休の取得実績がどれくらいあるかは、園によってかなり差があります。園選びの段階で確認する価値が最も高いポイントのひとつです。

⑥ 園を取り巻く制度・環境の変化

少子化により園児数が減少するなか、幼稚園から認定こども園へ移行する動きが続いています。移行は働く側にとって、預かり時間の長時間化、0〜2歳児クラスへの対応、シフト勤務化など、働き方そのものの変化を伴うことがあります。「子どもと関わる仕事を続けたいが、想定していた働き方と変わってしまった」という形で進路を考え直す人もいます。

関連して、2026年4月から「こども誰でも通園制度」(乳児等通園支援事業)が本格実施されています。ただしこの制度の対象は原則として生後6か月〜満3歳未満の未就園児であり、3歳以上児が中心の幼稚園そのものへの直接的な影響は限定的です。影響が出やすいのは、低年齢児を受け入れる認定こども園等に移行した施設で働く場合、という整理になります。

「辞めたいと思う理由」と「実際に辞めた理由」は、別のものである

前節で触れた点は、離職を考えるうえで視野が広がるデータなので、あらためて整理します。

東京都保育士実態調査では、現在働いている人の「退職意向の理由」と、すでに退職した人の「実際に辞めた理由」が別々に集計されています。そして両者の顔ぶれは一致しません。

上位に挙がる項目
退職意向の理由(在職者)給料が安い(61.6%)、仕事量が多い(54.0%)、職場の人間関係(30.1%)など
実際に退職した理由(退職者)妊娠・出産、給料が安い、職場の人間関係

※いずれも令和4年度東京都保育士実態調査(保育士対象)

ここから読み取れることは、少なくとも2つあります。

1つめ。処遇や業務量への不満は、日常的に感じられ、言語化もしやすい。けれどもそれだけでは人はすぐには辞めず、多くの場合は「働き続けたい気持ち」と併存しています。一方で、実際に退職に至る場面では、妊娠・出産という「いま働き方を決めなければならない」タイミングが大きな比重を占めます。

2つめ。したがって、不満を感じている段階でやるべきことは「辞めるか続けるか」を今すぐ決めることではなく、自分の不満がどのタイプなのかを切り分けることです。

  • 園を変えれば改善しうるもの:ICT化の有無、行事の量、残業や持ち帰りの慣行、シフトの柔軟性、担任配置の考え方、職場の人間関係
  • 両立支援の制度・運用で変わりうるもの:産休・育休の取得実績、復帰後の職位、時短勤務の可否、代替職員の配置体制
  • 業界全体の構造に関わるもの:給与水準の相場、年度制による働き方の制約、子どもと向き合う仕事に伴う責任の重さ

特に真ん中の「両立支援」は、制度があるかどうかよりも実際に使われているかどうかで実態が大きく変わる領域です。ライフイベントが実際の退職理由の上位に来ている以上、いま独身であっても、将来を見据えてここを確認しておく意味は小さくありません。

「辞めたい」と感じたとき、この3つを紙に書き分けてみるだけでも、判断の解像度はかなり上がります。

近年の変化:処遇に関わる制度は動いている

離職理由を語るうえで、公平に触れておきたい点があります。それは、幼児教育・保育分野の処遇に関わる制度が、ここ数年で継続的に見直されているということです。

こども家庭庁の資料によれば、公定価格(施設運営費の算定基準)における人件費部分の単価は、令和5年度以降、複数年にわたって引き上げが行われてきました(令和5年度5.2%、令和6年度10.7%、令和7年度5.3%)。

ただし、この数字の意味には注意が必要です。これらは人事院勧告に伴う人件費の改定率であり、「保育者の給与がその率だけ上がった」ことを示す数字ではありません。公定価格は施設に支払われる運営費の算定基準であり、それを職員一人ひとりの給与にどう配分するかは、各法人・各園の給与規程によります。制度としては処遇改善等加算において賃金改善計画・実績報告の提出が求められる仕組みになっており(令和7年度からは加算の一本化など仕組みの簡素化も進められています)、配分に一定の幅があること自体は制度の設計上の前提です。

したがって、転職や園選びを考える際には、「制度上の加算があるか」だけでなく、その園が実際にどう配分しているかを確認する視点が重要になります。求人票の基本給・手当の内訳、賞与の実績、処遇改善手当の支給方法(基本給に組み込まれているか、一時金か)などは、具体的に確認する価値のあるポイントです。

続けるか、環境を変えるか——整理のための5つの問い

「辞めたい」と感じたとき、いきなり結論を出す必要はありません。次のような問いで自分の状況を言語化してみると、選択肢が見えやすくなります。

  • 不満の中心は「仕事の内容」か、「今の職場の環境」か? 子どもと関わること自体は好きなら、職種を変えるより環境を変えるほうが合っている可能性があります。
  • 改善を相談できる相手が園内にいるか? 主任や園長、法人本部、自治体の相談窓口など、動かせる余地がまだ残っているかを確認します。
  • 心身のコンディションは大丈夫か? 睡眠・食欲・気分の落ち込みが続いている場合は、キャリアの判断より先に休養と医療機関の受診を優先すべき場面があります。
  • 年度の区切りをどう扱うか? 幼稚園は年度制の影響が大きい職場です。引き継ぎや子どもへの影響を考えると、動く時期の設計は他業種以上に重要になります。
  • 他の園・他の職場の条件を、実際に見たことがあるか? 比較対象を持たないまま「どこも同じだろう」と判断してしまうのは、もったいないケースもあります。

幼稚園教諭の経験が活きる進路の例

仮に環境を変えるとしても、選択肢は「幼稚園を辞める」だけではありません。実際には、次のような幅があります。

  • 同業他園への移動:規模、教育方針(自由保育・設定保育など)、行事の量、ICT導入状況によって働き方は大きく変わります
  • 認定こども園・保育所:幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持っていれば選択肢が広がります
  • 企業内保育所・院内保育所:定員が小さく、行事が比較的少ない傾向があるとされます
  • 児童発達支援・放課後等デイサービス:発達支援の専門性を深める方向
  • 公立園(公務員)への転換:自治体の採用試験を経る必要がありますが、待遇や休暇制度の安定性を重視する人の選択肢
  • 教育・子育て関連企業:教材開発、保育系メディア、子ども向けサービスの運営など
  • 子どもと直接関わらない職種:事務職や接客職など。保育現場で培った段取り力・観察力・調整力は、他分野でも評価される要素です

情報を集めるときの、サービスの選び方

具体的に動くかどうかはまだ決めていない段階でも、「今の自分の条件が、外から見てどう評価されるのか」を知っておくことには意味があります。その際、情報源にはいくつかのジャンルがあり、それぞれ性格が異なります。

  • 保育・幼児教育に特化した転職エージェント:免許・資格を前提とした求人が中心で、園の内情(残業・持ち帰り・行事量・職場の雰囲気など)についての情報提供をうたうサービスが多く見られます。ただし提供される情報の量や精度は担当者・事業者によって差があるため、鵜呑みにせず自分でも確認する姿勢は必要です
  • 保育・教育系の求人サイト:自分のペースで求人を検索できる。まず相場観を知りたい段階に向く
  • 総合型の転職エージェント:異業種への転換も視野に入れる場合。職務経歴の言語化を手伝ってもらえる
  • 自治体・公的な就職支援窓口:保育士・保育所支援センター、ハローワークなど。営利目的でない相談先として選択肢になります
  • 公立園の採用情報:各自治体の採用ページ。募集時期が限られるため早めの確認が必要です

どれか一つが優れているというより、目的によって向き不向きがあります。一社だけの説明で判断せず、複数の情報源を比較したうえで、自分の条件と照らし合わせるのが現実的です。また、登録したからといって必ず転職しなければならないわけではありません。「選択肢を知ったうえで今の園に残る」という結論も、立派な判断です。

用語のミニ解説

  • 公定価格:国が定める、幼稚園・保育所・認定こども園などの運営費の算定基準。人件費部分の単価が改定されると、施設に入る運営費が変わります。
  • 処遇改善等加算:保育者等の賃金改善を目的に、公定価格に上乗せされる加算。賃金改善計画・実績報告の提出が求められ、令和7年度から仕組みの一本化が進められました。
  • 認定こども園:幼稚園と保育所の機能をあわせ持つ施設。移行に伴い、預かり時間や職員の勤務形態が変わることがあります。
  • こども誰でも通園制度(乳児等通園支援事業):保護者の就労の有無にかかわらず、時間単位で施設を利用できる制度。対象は原則として生後6か月〜満3歳未満の未就園児で、2026年4月から本格実施。
  • 指導計画(指導案):子どもの育ちを見通して作成する保育・教育の計画書。年間・月間・週日案などがあります。

出典

  • 文部科学省「令和7年度学校教員統計調査(中間報告)」(2026年7月公表) — https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kyouin/kekka/k_detail/2025.htm
  • 文部科学省「令和4年度学校教員統計調査(確定値)」(2024年3月公表) — https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kyouin/kekka/k_detail/1395309_00005.htm
  • 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」 — https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(職種小分類別の数値はこちらまたはe-Statの職種別表を参照) — https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html
  • 東京都福祉局「令和4年度 東京都保育士実態調査」 — https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shikaku/r4hoikushichousa
  • こども家庭庁「子ども・子育て支援等分科会 公定価格に関する資料」(人件費の改定率等) — https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/443197f1-8796-458c-b5c8-27bb782a77d5/5061fd7a/20241218_councils_shingikai_kodomo_kosodate_443197f1_07.pdf
  • こども家庭庁 保育人材確保関連資料(文部科学省提出資料を含む) — https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/6615aa32-376c-41c7-aba3-85eaaebead0d/7582bc65/20241202-councils-hoikujinzai-6615aa32-06.pdf

おわりに:数字は「傾向」であって、あなたの答えではない

ここまで統計を中心に整理してきましたが、最後に強調しておきたいことがあります。

幼稚園教諭として働く人の全員が辞めたがっているわけではありません。 同じ園、同じ業務量でも、やりがいを感じて長く働き続ける人もいれば、限界を感じる人もいます。どちらが正しいということではなく、何を大切にするか、どんな環境が自分に合うかは人によって大きく異なります。

また、この記事で紹介したデータには、調査対象・年度・集計方法といった制約があります。特に退職理由の部分で用いた東京都保育士実態調査は保育士を対象とした調査であり、幼稚園教諭の実態と完全に一致するものではありません。学校教員統計調査についても、最新回は中間報告の段階です。数字はあくまで全体の傾向をつかむための材料として受け取っていただければと思います。

大切なのは、周囲の声や統計ではなく、自分自身の状態と希望を言葉にすること。そのうえで、残るにせよ動くにせよ、納得して選べる状態をつくることです。この記事が、その整理の一助になれば幸いです。